強いマッサージの真実:効果とリスクをプロがズバリ解説

マッサージ

強いマッサージって体に良いの?悪いの?

患者さん: 先生、マッサージを受ける時、つい「もっと強く押してほしい!」って思っちゃうんです。
強いマッサージって、体にどう影響するんですか?

 

私: それ、よく聞く話ですね。強く押してもらうと「効いてる!」って感じがしますよね。
でも、実は強いマッサージには良い面と、注意しないといけないリスクがあるんですよ。
今日はそのことについて、一緒に見ていきましょう。


 

1. 筋肉ってどうなるの?

 

私: まずは、マッサージで一番触れる「筋肉」についてお話ししますね。

患者さん: 筋肉がゴリゴリしてる時に強く押してもらうと、気持ちいいんですけど。

私: そうですね。強い圧力をかけると、その瞬間に筋肉にこんな変化が起こります。

 

1-1. その場で起こる変化

 

変化の名称 どんなことが起こるの?
筋線維の伸長 硬くなっている筋肉(ゴリゴリする部分)が、ぎゅーっと伸びてくれます。
結合組織のリリース 筋肉を包んでいる薄い膜(筋膜)が、くっついて硬くなっているのを「はがす」ように柔らかくします。

 

1-2. 後から起こる体の反応

 

私: そして、マッサージが終わった後にも、体の中では様々な良い反応が起こります。

  • 筋緊張の低下:
    筋肉にあるセンサーが刺激されると、ギュッと縮まっていた筋肉が、ふっと緩みやすくなります。
  • 疲労物質の除去:
    血の巡りが良くなることで、体にたまった乳酸などの疲れの元が流れ出し、回復が早まります。
  • 鎮痛物質の放出:
    体の中から、痛みを和らげる「エンドルフィン」という物質が出てきて、痛みが楽になることもあります。

 

1-3. 気をつけたいリスク

 

私: でも、良いことばかりではありません。強くやりすぎると、こんなリスクもあるんです。

  • 筋線維の微細な損傷:
    筋肉の繊維に、とても小さな傷がついてしまうことがあります。
    これが、次の日に感じる「筋肉痛(遅れてくる筋肉痛)」の原因になります。
  • ダメージが出やすい時:
    体の水分が足りない時や、すごく緊張している時は、特に筋肉が傷つきやすいので注意が必要です。

 

2. 血管ってどうなるの?

 

私: 次は、マッサージで血が流れる道、「血管」にどんな影響があるかを見ていきましょう。

患者さん: マッサージの後に体がポカポカするのは、血の巡りが良くなってるからですよね?

私: その通りです! でも、強い圧力だと一時的にこんなことも起こります。

 

2-1. その場で起こる変化

 

  • 一時的な虚血(きょけつ):
    圧力が強すぎると、細い血管(毛細血管)が一時的につぶれてしまい、血の流れが止まることがあります。

 

2-2. 圧力が終わった後の反応

 

私: でも、圧力を緩めると、その後に良い反応が起こります。

  • 反応性充血(はんのうせいちゅうけつ):
    圧力をやめると、止まっていた血が一気に流れ出すので、皮膚が赤くなることがあります。
    これは血管が広がっている証拠です。
  • 血管内皮の刺激:
    血管の内側が刺激されると、「NO(一酸化窒素)」という物質が出てきて、血の巡りが長く続くようになります。
  • 静脈還流(じょうみゃくかんりゅう)の促進:
    心臓に向かってマッサージすると、むくみが取れて体がスッキリすることもあります。

 

2-3. 血管のリスク

 

私: ただし、血管にもこんなリスクがあるんです。

  • 血管損傷(けっかんそんしょう):
    特に、高齢者の方や、血管が硬くなっている人(動脈硬化のある人)は、
    血管の壁が傷ついてしまうことがあります。
  • 深部静脈血栓症(DVT)に注意:
    もし足の奥の方に「血栓(けっせん)=血の塊」がある場合、強いマッサージでそれがはがれて、
    肺に飛んでしまうと、命に関わる大変なことになってしまう可能性もゼロではありません。

 

3. 神経はどうなるの?

 

私: 続いては、痛みを感じたり、体をリラックスさせたりする「神経」への影響です。

患者さん: 痛いマッサージって、なんだかスッキリする時と、かえって疲れる時があります。

私: それは、神経が影響しているからかもしれませんね。

  • 痛みを感じにくくする効果:
    マッサージの刺激で、一時的に脳へ行く痛みの信号をブロックすることができます。
    これは「ゲートコントロール」と呼ばれる仕組みです。
  • 自律神経(じりつしんけい)の反応:
    適度なマッサージは、体をリラックスさせる「副交感神経(ふくこうかんしんけい)」を優位にします。
    でも、痛みが強すぎると、体を興奮させる
    「交感神経(こうかんしんけい)」を刺激してしまい、
    かえってストレスになってしまうことがあります。

 

4. 炎症ってどうなるの?

 

私: 最後に、体が傷を治そうとする働き**「炎症反応」**についてです。

患者さん: 炎症って、悪いものじゃないんですか?

私: いいえ、実は炎症は、体が傷を治すために必要な反応なんです。

  • 適度な炎症:
    軽い筋肉の損傷は、修復細胞を呼び寄せて、傷ついた組織を新しく作り直すのを助けてくれます。
  • 過度な炎症:
    でも、強すぎるマッサージで炎症がひどくなると、逆に痛みや腫れが強くなって、
    治るのが遅れてしまうことがあります。

 

5. 強すぎるマッサージの悪影響

 

私: ここまでの話をまとめると、強いマッサージにはこんな悪影響がある可能性があります。

  • 筋肉が逆に硬くなる:
    痛すぎると、体が身を守ろうとして、かえって筋肉がギュッと固まってしまうことがあります。
  • あざ・神経損傷:
    血管や神経が傷ついてしまい、青あざができたり、しびれやチクチクした痛みが出たりすることもあります。
  • 横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう):
    とてもまれなケースですが、ひどい筋肉の損傷が起きると、体にとって有害な物質が出て、
    腎臓に大きな負担をかけてしまう病気になることもあります。これは本当に注意が必要です。

 

6. 強すぎるマッサージへの対処法

 

私: もしマッサージが強すぎると感じたら、どうすればいいか知っていますか?

患者さん: 我慢しちゃうことが多いです…。

私: それは一番良くないことですね! 我慢は絶対にしないでください。

  • セラピストに伝える:
    痛いと感じたら、すぐに「もう少し弱くしてください」と伝えましょう。
    あなたの体が一番大切ですから。
  • 資格を持ったプロを選ぶ:
    経験が豊富で、体のことをよく知っているプロのセラピストを選びましょう。
    彼らなら、あなたの体の状態に合わせて、適切な強さに調整してくれます。
  • 自分の体の声に耳を傾ける:
    マッサージ中や終わった後に、「いつもと違う痛み」や「不自然な感じ」がしたら、
    無理せず休憩したり、専門家に相談したりすることが大切です。

 

7. 「良い圧力」と「強すぎる圧力」の見分け方

 

私: 最後に、どんなマッサージが「ちょうど良い」のか、見分けるためのポイントを教えますね。

患者さん: それは知りたいです!

私: では、この表を見てください。

項目 良い圧力 強すぎる圧力
感覚 じんわりと気持ちいい痛み。筋肉が緩む感覚。 鋭く突き刺すような痛み。思わず身震いするレベル。
体への効果 緊張が和らぎ、血流が良くなって回復が早まる。 緊張が強くなり、あざや炎症を引き起こす。
神経への影響 リラックスできて、心が落ち着く。 ストレスを感じて、かえって体が疲れる。
セラピストの対応 最初は優しく始めて、様子を見ながら調整してくれる。 「痛いほど効く」と言って、力任せに押してくる。

 

まとめ

 

私: つまり、強いマッサージは、一時的に気持ちよさを感じるかもしれませんが、同時にリスクも潜んでいるんです。

患者さん: なるほど! 「痛いほど効く」って思ってたけど、そうじゃないんですね。

私: その通りです! 大切なのは、「我慢できるけど、じんわり気持ちいい」と感じる範囲を守ることです。
そして、マッサージ中はセラピストさんとしっかりコミュニケーションをとってくださいね。

私: もし、何か持病があったり、体調が良くない時は、必ず事前にマッサージを受けるお店やセラピストに伝えてください。
そうすることで、マッサージのメリットだけを最大限に受けられるようになりますよ。

 

 

多田治療院
住所:東京都中央区新富1-6-1 1F
予約電話:03-3553-8585
営業時間:(月-金)9:00-20:00(木)午後休診・(土)17:00まで
日曜日・祝日はお休みです。

治療費用

最寄り駅:日比谷線 八丁堀駅より徒歩3分。

有楽町線 新富町駅より徒歩3分。

京橋駅、宝町からもアクセス可能
※わからない場合はお電話下さい。ご案内させて頂きます。

Follow me!